MEDIA ORCHESTRA(メディアオーケストラ)は、事業の強みを取材のうえ記事にして、複数の媒体で公開する有料サービスです。MEDIA ORCHESTRA は、Runway Magazine の運営会社のサービスです。
題名にある90万円(税別)は、個人事業主向けのスモール ライトの構築費です。このプランには別に月額2万円(税別)がかかります。法人向けの最小プランは、構築費が180万円(税別)です。
申し込みを考える人から出やすいのが「この費用は経費になるのか」という疑問です。先に結論を書くと、事業のために払う費用なので経費として扱うのが基本ですが、一度に経費にできるのか、何年かに分けるのかは、契約の中身と会社の状況で判断が分かれます。この記事は一般的な考え方の整理です。実際の処理は、顧問の税理士に確かめてください。
広告宣伝費として処理する考え方
MEDIA ORCHESTRA の料金は、2つに分かれています。最初に払う「メディア構築費(初期)」と、毎月払う「月額料金」です。公式サイトの規約では、構築費は戦略設計・初期構築の対価と説明されています。
記事を作って載せ、お店や会社の名前を知ってもらうための費用なので、中身としては宣伝のための支出です。そのため、支払った年(サービスを受けた年)の広告宣伝費として処理する考え方があります。
この考え方を支える事情として、MEDIA ORCHESTRA では、作った記事やメディアの権利は運営会社にあり、利用者の資産にはなりません。解約すれば、載っていた記事は公開が止まり、動画講義も使えなくなります。利用者が「物」や「ソフト」を買い取るのではなく、掲載と運用のサービスを受けている、という見方です。
月額料金は、毎月の記事の確認・報告・動画講義「AIマーケティングラーニング」などの対価として、その月の経費とするのが自然です。
繰延資産・ソフトウェアとして扱う考え方と判断の分かれ目

一方で、まとまった額を一度に払い、その効果が長く続く支出は、何年かに分けて経費にする扱いになることがあります。
税法には「繰延資産」という区分があり、国税庁は「支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶもの」と説明しています。また、プログラムとして使う自社利用のソフトウェアは無形の資産で、耐用年数は5年です。
構築費がどちらに近いかを考えるときの分かれ目は、おおむね次の3つです。
- 何に払ったか:記事の制作と掲載か、自社で使うシステムやプログラムを作ってもらったのか
- 誰のものになるか:できたものが自社の資産になるのか、運営会社のものになるのか
- 効果が続く期間:支払いの効果が1年以上に及ぶと言えるか
期間の見方では、契約の区切りが材料になります。MEDIA ORCHESTRA は、最初の6か月が最低契約期間で、その先は月ごとに更新される形です。区切りの短さをどう評価するかも含め、構築費の中身を契約書面で確認してから、税理士の判断を仰ぐのが確実です。
月額料金と分割払いの処理
個人事業主向けの構築費は、分割で払うこともできます。スモール ライトの場合、1回あたりの支払額は税別で7万5,000円です。
ここで注意したいのは、分割で払っても、経費にする時期は支払いの時期とは限らないことです。経費は一般に、サービスを受けて支払う義務が確定した時に計上するのが原則とされています。分割払いは支払い方の話で、経費を何年かに分けるかどうかとは別に考えます。
月額料金は、毎月1日に発生し当月末日までに支払う決まりです。毎月の経費として処理するのが基本になります。法人プランは、申し込み時に「年間契約(月額20%引き)」を選べます。1年分をまとめて払う場合、決算をまたぐ分の扱い(前払いの処理)は税理士に確かめておくと安心です。
半年使った場合の総額は、スモール ライトで税別102万円です。この額を一年で全部落とすのか、複数年に配るのかで、年ごとの利益と税額の見え方は変わってきます。
消費税(税別表記)とインボイス

MEDIA ORCHESTRA の料金表示は、すべて税別です。実際の支払いには消費税が加わるので、資金計画は消費税を足した額で立てます。
消費税を納めている事業者にとって気になるのが、インボイス(適格請求書)です。払った消費税を差し引く(仕入税額控除)には、原則として登録番号のある適格請求書が必要です。
インボイスを発行できない相手からの仕入れには経過措置があり、国税庁によると、控除できる割合は2026年9月30日までが80%、2026年10月1日から2028年9月30日までは70%です。
公式サイトには、請求書が適格請求書かどうかの案内はありません。請求書の形式は税額計算に直結します。契約前に運営会社へ確認し、登録番号が示されたら、国税庁の公表サイトで照合しておくと安心です。免税事業者や簡易課税を選んでいる事業者は、扱いが変わります。
税理士に聞くときの質問の仕方
税理士に相談するときは、「この費用は経費になりますか」とだけ聞くより、判断に要る材料を先にそろえると話が早く進みます。手元に用意したいのは、申し込みの最終確認画面の内容と契約書面、請求書です。
聞き方の例です。
- 「構築費は、記事の制作と掲載のサービスの対価です。作った記事やメディアの権利は運営会社にあり、解約すると記事は非公開になります。広告宣伝費として一度に処理できますか、繰延資産として分けるべきですか」
- 「構築費を12回の分割で払います。経費にする時期は、支払いに合わせてよいですか」
- 「請求書が適格請求書でない場合、消費税の計算はどうなりますか」
- 「年間契約で月額をまとめて払う場合、決算をまたぐ分はどう処理しますか」
契約の中身を言葉にして伝えることで、税理士も判断しやすくなります。
公的な根拠(国税庁の取扱い)の探し方
自分でも根拠を確かめたいときは、国税庁のサイトが入口になります。
- タックスアンサー:よくある税の質問を短く説明したページです。「繰延資産」「ソフトウエア」などの語で検索できます
- 法人税基本通達:繰延資産の範囲や償却期間など、国税庁の解釈が書かれています
- インボイス制度の特設ページ:経過措置の割合や、令和8年度税制改正の内容がまとまっています
ただし、自分の契約がどれに当たるかは個別の判断です。根拠を読んだうえで、最後は税理士に確かめてください。
よくある質問
Q. 解約したら、払った構築費はどうなりますか?
構築に着手した後のメディア構築費は返金されません。経理の面では、すでに費用として計上した分を後から戻せない、という点が要になります。なお、先に述べた権利の帰属のとおり、利用者が提供した写真や文章は利用者の手元に残ります。
Q. 経費にすれば、成果が出なくても損はしませんか?
経費になっても、支払った分のお金は出ていきます。MEDIA ORCHESTRA は、検索順位や問い合わせ数などの特定の成果を保証していません。経費の扱いとは別に、続けられる予算かどうかで判断することをおすすめします。
記載は2026年10月の公式サイトに基づきます。最新の内容は公式サイトで確かめてください。税務の扱いは個別の事情で変わるため、本稿は一般論の紹介にとどめます。
公式サイト:https://media-orchestra.com/
出典
- 国税庁 タックスアンサー No.5460「建物を賃借するための権利金等」(繰延資産の定義「支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶもの」、法令等基準日 令和7年4月1日) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5460.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.5461「ソフトウエアの取得価額と耐用年数」(自社利用ソフトウエアの耐用年数5年) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5461.htm
- 国税庁 法人税基本通達 第8章第2節「繰延資産の償却期間」 https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/08/08_02.htm
- 国税庁「令和8年度税制改正特集」(インボイス制度・免税事業者等からの仕入れに係る経過措置) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice-review/index.htm
- 国税庁「インボイス制度 基礎編」(令和8年5月) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0023011-048_02.pdf
- MEDIA ORCHESTRA 公式サイト(料金・利用規約、2026年10月1日確認) https://media-orchestra.com/
