llms.txt は、AI向けにサイトの要点をまとめて置く、文字だけの案内ファイルです。ただし Google は「検索や AI 機能には使っていない」と説明しており、お店のサイトで優先して置く理由は、いまのところ見当たりません。
置いても害はありませんが、効果が確かめられた話でもありません。この記事では、ファイルの中身、Google の発言、読まれている実態の調査を順に整理します。
llms.txt とは何のファイルか
llms.txt は、AI(大規模言語モデル)が読みやすいように、サイトの概要と主なページへのリンクを書いておくファイルです。提案したのは、AI研究者のジェレミー・ハワード氏で、2024年9月のことです。
提案の公式サイト llmstxt.org によると、置き場所はサイトの最上位(/llms.txt)か、特定のフォルダの下です。書式は Markdown(見出しやリンクを記号で書く簡易な書き方)です。
決まりで必須とされているのは、サイト名を示す見出し(H1)だけです。要約の引用文、補足の説明、見出しごとのリンク一覧は、任意で足せます。
似た名前に robots.txt がありますが、役割は別です。robots.txt は「このページは読まないでほしい」と巡回する側に頼むファイルで、llms.txt は「読むならここから」と案内するファイルです。
Google は使っているのか
Google の公式ドキュメントは、はっきり書いています。「Google 検索(生成AI機能を含む)に表示されるために、新しい機械可読ファイル、AI向けテキストファイル、マークアップ、Markdown を作る必要はありません。Google 検索自体がそれらを使っていないからです」という内容です(2026年7月10日更新の版)。
同じページには、こうしたファイルを作っても、Google 検索での表示や順位に「良くも悪くも影響しない」とも書かれています。
Google 検索の担当者、ジョン・ミューラー氏も、2025年6月17日に SNS の Bluesky で「FWIW no AI system currently uses llms.txt(念のため言うと、現時点で llms.txt を使っている AI システムはない)」と投稿しました。
2026年6月には、Reddit の質問に「誰にも分からない。いまのところ、まったくの推測にすぎない(ファイルは何年も前からあるのに、どの AI システムも使っていない。それは何を意味するのか)」と答えたと、Search Engine Journal が伝えています。
なお、これは Google 検索についての話です。ほかの AI 企業が将来どう扱うかについて、公式な発表は見当たりません。
実際に読まれているのか
SEO ツールを出している Ahrefs が、2026年6月に、約13万7,000のドメインを調べた結果を公表しました。結果は、llms.txt の97%が、調査期間中に一度も取得されていなかったというものです。
取得されたものの中でも、AI のボットによるものは19.5%にとどまり、取得したボットの77%は AI ツールではなく、SEO の点検ツールなどでした。
同じ調査では、存在しない llms.txt を自分から探しにいく AI ボットは見つからなかった、とされています。AI が読むのは、誰かが読む先として指定したときだけ、ということです。
調査の主催者は、llms.txt は検索での見え方を上げる道具というより、コーディング用のAIエージェントの参考資料として使われているという見方を示しています。
一方で、使われている場面はあります。Ahrefs の調査は、一部のコーディング用ツールが llms.txt を読んでいることを確認しています。開発者向けの技術文書で見かけることが多いのは、このためです。
置く側の言い分と、慎重な側の言い分
置いたほうがよいという立場は、次のように考えます。AIがサイトを読む仕組みは今後も変わる可能性があり、作る手間は小さい。将来使われたときのために、置いておいて損はない、という見方です。
提案者の公式サイトも、すでに数多くのサイトが公開していると述べています。
慎重な立場は、効果が確かめられていないものに時間を使うより、すでに読まれている情報を整えるべきだと考えます。
Google の説明も、この立場に近いものです。両方の言い分を並べると、「置いてもよいが、順番は後」というのが、現時点で無理のない整理です。
小さなお店は、何を先にやるか
AIがお店を答えるときに何を見ているかは、別の調査で分かっています。GMO TECH が2026年8月6日に発表した調査では、Google の AI モードがお店を答えた回答の約7割で、Google の店舗カードが参照されていました。
お店側が「Google ビジネスプロフィール」で管理している情報です。
先にやることは、次の順が現実的です。
- Google ビジネスプロフィールの営業時間・定休日・臨時休業を、いまの実態に合わせる
- メニュー、料金、席数、予約の可否など、探す人が条件にしそうな情報を載せる
- 自社サイトに、住所・電話・営業時間・メニューを、文字で読める形で載せる(画像だけにしない)
- サイトが検索のボットに読める状態か確かめる(読ませたくないページ以外を遮断していないか)
この4つが整っていて、時間に余裕があるときの追加の選択肢が、llms.txt です。
書き方の例
書式は、先ほどの仕様のとおりです。架空の「〇〇食堂」で書くと、次のようになります。
# 〇〇食堂
> 〇〇駅から徒歩3分の定食屋です。昼は定食、夜は一品料理と日本酒を出しています。
営業時間は11時から22時(月曜定休)。予約は電話のみ、席数は24席です。
## お店の情報
- [店舗案内](https://example.com/about): 住所、地図、営業時間、定休日
- [メニュー](https://example.com/menu): 定食と一品料理の料金
## 予約・お問い合わせ
- [予約について](https://example.com/reserve): 電話予約の受付時間と、団体の相談
サイト名の見出し、短い説明、見出しごとのリンク。これだけです。
置くのは、https://example.com/llms.txt のように、サイトの最上位です。
WordPress のサイトでも、考え方は同じです。最上位にファイルを置ければ足ります。
ただ、置き方はサーバーやテーマの作りで異なり、WordPress 専用の公式な手順は、提案者の公式サイトでは確認できませんでした。
これからの見方
今後、AI企業がこのファイルを使い始める可能性は、否定できません。ただ、現時点で、主要な AI 企業が検索や回答のためにこれを読むと公式に発表した例は、見当たりません。
置くなら、「将来のための小さな備え」と考え、順位や集客の効果は期待しないのが妥当です。
出典
- llmstxt.org「The /llms.txt file」(提案の公式サイト) https://llmstxt.org/
- Google 検索セントラル「Optimizing your website for generative AI features on Google Search」(2026年7月10日更新) https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/ai-optimization-guide
- Search Engine Roundtable「Google Says No AI System Currently Uses LLMs.txt」(ジョン・ミューラー氏の投稿、2025年6月17日) https://www.seroundtable.com/google-ai-llms-txt-39607.html
- Search Engine Journal「Google Says LLMs.txt Is Purely Speculative For Now」(2026年6月) https://www.searchenginejournal.com/google-says-llms-txt-is-purely-speculative-for-now/577576/
- Ahrefs「We Analyzed 137K Sites: 97% of llms.txt Files Never Get Read」(2026年6月公表) https://ahrefs.com/blog/llmstxt-study/
- GMO TECH株式会社「AIがお店を探すとき、頼りにしている情報は何か」(2026年8月6日) https://gmotech.jp/news_release/?p=13185
