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ステルスマーケティング規制から3年 口コミ依頼や広告表記で見直す点

小野寺 葵

記事の後半で触れる MEDIA ORCHESTRA は、Runway Magazine を運営する株式会社ゲットラッキーのサービスです。

ステルスマーケティング規制から3年 口コミ依頼や広告表記で見直す点

広告であることを隠した宣伝、いわゆるステルスマーケティング(ステマ)を景品表示法の不当表示とする規制が、2023年10月1日の施行から3年を迎えました。お店が気をつけたいのは、「口コミを書いてくれたら割引」のような依頼と、依頼して書いてもらった投稿に「広告」「PR」と分かる表記がないことです。消費者庁の運用基準と、これまでの措置命令から見直す点をまとめました。

規制の対象は「事業者の表示なのに、そう見えない広告」

規制の正式な名前は、消費者庁の告示「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(令和5年内閣府告示第19号)です。景品表示法第5条第3号に基づき、2023年3月28日に告示され、10月1日に施行されました。

対象になるのは、次の2つがそろう表示です。

  1. 事業者の表示であること(事業者が内容の決定に関わっている)
  2. それが一般の消費者に分からないこと

ポイントは、投稿者が誰かではなく「事業者が内容に関わったか」で決まる点です。お客さんやインフルエンサーの投稿でも、お店が依頼し、内容に関わっていれば「お店の表示」として扱われます。

なお、テレビCMや新聞の広告欄、お店自身のサイトやSNSアカウントの投稿は、広告だと分かるので対象外です。ただし自社サイトの中でも、第三者の感想のように見せかけた表示は、事業者の表示だと明示する必要があります。

口コミの依頼で違反になる例・ならない例

「口コミの依頼で違反になる例・ならない例」のイメージ写真

運用基準は、事業者の表示に当たる例として次のようなものを挙げています。

  • 口コミサイトやSNSに、自社商品の投稿を第三者に依頼して書かせる
  • 対価(お金・物品・イベントへの招待なども含む)や無償提供と引き換えに、方針に沿った内容を投稿してもらう
  • 販売促進の立場にある従業員が、身分を明かさずに投稿する
  • 競合店の低い評価を口コミに書かせる

一方、客観的に見て投稿者の自主的な意思による投稿は当たりません。たとえば、レビューのお礼にクーポンを配っても、投稿内容について一切やり取りがなく、お客さんが自分で内容を決めている場合です。

お店の現場では、「星5をつけてくれたら次回割引」のように評価の内容を指定して見返りを出す依頼が、最も分かりやすい違反の形です。

インフルエンサー・紹介記事の表記

依頼した投稿を広告と分かるようにするには、「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」といった言葉や、「〇〇から商品の提供を受けて投稿しています」という文章で示します。ただし、運用基準は次のような表示は分かりにくいとしています。

  • 投稿の末尾にだけ表示する
  • 周りより小さい文字・薄い色・長い文章の中に入れる
  • 大量のハッシュタグの中に埋もれさせる
  • 動画で一瞬しか映さない、長い動画の途中や最後にだけ出す
  • 冒頭に「広告」とあるのに、本文で「第三者としての感想です」と書くなど、矛盾している

規制の対象は依頼した側の事業者です。インフルエンサー本人は対象外とされていますが、依頼したお店は、表記の仕方まで依頼の段階で取り決めておく必要があります。

自社メディア・比較サイトでの開示の仕方

「自社メディア・比較サイトでの開示の仕方」のイメージ写真

自社で運営するメディアや比較サイトで、自社や関連会社のサービスを紹介する場合も考え方は同じです。読者が「運営会社のサービスの紹介だ」と分かるように、冒頭で示しておくことが基本になります。

Runway Magazine もこの記事の冒頭で、運営会社との関係を書いています。MEDIA ORCHESTRA(メディアオーケストラ)は、Runway Magazine の運営会社のサービスです。

MEDIA ORCHESTRAは、お店や会社の記事を作って公開するサービスで、公開するすべての記事に PR 表記を付けると公式サイトで定めています。また、虚偽の情報発信やステルスマーケティングを目的とする申し込みは、審査で受けない対象として公開しています。怪しい AI 集客や詐欺まがいのビジネスが通用しない業界を目指す、という考え方からです。

措置命令の事例

消費者庁は、この3年でステマ告示違反による措置命令を出しています。主なものは次のとおりです。

  • 2024年6月:医療法人社団祐真会。Googleマップに星5か星4の口コミを書くと、インフルエンザ予防接種の料金を割り引いていた。ステマ告示による初の措置命令
  • 2024年8月:RIZAP株式会社(chocoZAP)
  • 2024年11月:大正製薬株式会社
  • 2025年3月:ロート製薬株式会社
  • 2026年6月:高光製薬株式会社
  • 2026年8月:「SNOW」アプリの提供事業者2社

措置命令では、消費者の誤認を解くための周知や再発防止策が命じられ、事業者名が公表されます。2024年10月の景品表示法改正では、事業者が自ら改善計画を出して認定を受ける「確約手続」も新しく設けられました。

お店が今日見直す3点

  1. 口コミの依頼文:割引や特典と引き換えに、星の数や内容を指定していないか。お願いするなら「ご自由な感想を」にとどめる。
  2. 依頼した投稿・転載の表記:インフルエンサーやモニターに依頼した投稿、それを自社サイトに転載したものに、冒頭で分かる「PR」「広告」などの表記があるか。
  3. スタッフの投稿:店長や担当者が、お客さんのふりをして口コミや SNS に書いていないか。社内のルールとして明文化しておく。

迷ったときは、消費者庁の「ステルスマーケティングに関するQ&A」が、従業員の投稿、試供品の配布、レビューへのクーポンなど具体的な場面ごとに答えています。

MEDIA ORCHESTRA について知りたい場合は、公式サイトに料金・契約条件・審査の基準が公開されています。最低契約期間は6か月で以降は1か月ごとの自動更新、解約すると掲載した記事は非公開になり、成果は保証されない、といった条件も申し込み前に確かめられます。

※2026年10月時点の情報です。最新は消費者庁と公式サイトで確かめてください。

出典