飲食店の倒産が、過去にないペースで増えています。東京商工リサーチ(TSR)が9月4日に発表した集計によると、2026年1〜8月の「飲食業」の倒産は701件。前年同期より8.8%多くなりました。
2025年は年間1,002件で過去最多でしたが、TSRは「このペースで推移すると前年を抜き、過去最多を更新する可能性も出てきた」としています。
数字で見る今年の飲食業倒産
- 1〜8月の累計:701件(前年同期比8.8%増)
- 8月だけで80件(前年同月比42.8%増)。8月としては30年間で最多
- 上半期(1〜6月):509件(前年同期比5.3%増)。上半期として初めて500件台に
いずれも負債1,000万円以上の倒産を数えたものです。TSRの「飲食業」には、レストランや居酒屋のほか、喫茶店、バー、持ち帰り・宅配の店も含まれます。
増えているのは「町の馴染みのお店」
業態別に見ると、上半期は居酒屋(酒場、ビヤホール)が118件で前年同期より31.1%増え、初めて100件を超えました。ラーメン店36件(44.0%増)、日本料理店36件(20.0%増)も増えています。
8月だけでも、食堂・レストラン18件、居酒屋16件、ラーメン店8件と、TSRが「気楽に立ち寄れる“町の馴染みのお店”」と呼ぶ業態の増加が目立ちました。
帝国データバンク(TDB)も7月22日に上半期の集計を出しています。TDBの数え方(負債1,000万円以上・法的整理による「飲食店」の倒産)では、上半期は473件で、上半期として過去最多。4年連続の増加です。業態別では居酒屋を中心とする「酒場・ビヤホール」が125件で最も多く、こちらも過去最多でした。
2社は集計の範囲が違うため、件数は一致しません。どちらの集計でも「過去最多」という点は同じです。
原因の8割は「販売不振」、そして小さなお店ほど苦しい
TSRの上半期の集計では、原因の最多は販売不振で424件、全体の83.3%を占めました。
あわせて、次の2つが大きく増えています。
- 食材や水道・光熱費などの「物価高」による倒産:86件(前年同期の1.5倍)
- 「人手不足」関連の倒産:36件(前年同期の2.2倍)
規模では、資本金1千万円未満(個人企業を含む)が461件で、全体の90.5%。TSRは、小さなお店ほどコスト増の負担が大きく、お客さんが減るのを心配して値上げに踏み切りにくい実態がある、と分析しています。
TDBも、大手チェーンが値上げでコスト増を吸収する一方、値上げに踏み切れない中小規模の店の業況悪化が見られ、規模による差が広がっているとしています。
お店として、いまできること/確かめたいこと
1. 原価と光熱費を「月ごと」に見る
原因のなかで大きく増えているのが物価高です。食材費・水道光熱費が売上に占める割合を月ごとに出しておくと、どこで利益が削られているかが早く分かります。
2. 値上げは「やるか・やらないか」より「いくら・どのメニューで」を考える
お客さんが離れるのが怖くて値上げできない、というのが2社の集計に共通する苦しさです。全部を一律に上げるのではなく、原価が大きく上がったメニューから見直す、といった形で数字を出してみると判断しやすくなります。
3. 資金繰りの見通しを先に立てる
販売不振が続くと、手元のお金が先に尽きます。数か月先までの入金と支払いを書き出し、足りなくなりそうな月が見えたら、早めに取引先の金融機関や、地元の商工会議所・商工会に相談するのが確実です。返済や融資の条件など個別の判断は、それぞれの窓口で確かめてください。
出典
- 東京商工リサーチ TSRデータインサイト「馴染みの居酒屋、ラーメン店の倒産が大幅増 8月の『飲食業』倒産80件、年間最多ペース」(2026年9月4日) https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1203209_1527.html
- 東京商工リサーチ TSRデータインサイト「2026年上半期『飲食業』倒産 過去最多の509件 居酒屋倒産が初の100件超、人手不足・物価高が課題」(2026年7月8日) https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1203032_1527.html
- 帝国データバンク「『飲食店』の倒産動向(2026年上半期)」(2026年7月22日) https://www.tdb.co.jp/report/industry/20260722-insyokuten2026fh/

