2026.10.07 WED RSS

トップ › 制度・政策

制度・政策

パート・アルバイトの待遇ルール、10月1日から改正 家族手当や夏季冬季休暇の「差」を見直すときに

石塚 雄大
パート・アルバイトの待遇ルール、10月1日から改正 家族手当や夏季冬季休暇の「差」を見直すときに

パート・アルバイトなどを雇うときのルールが、2026年10月1日から変わります。厚生労働省が4月28日に改正省令と告示を公布したもので、正社員との「不合理な待遇差」を禁じる、いわゆる同一労働同一賃金のルールの見直しです。施行から5年がたったことを受けて、審議会で議論されてきました。

変わるのは3つ

  1. 雇い入れ時に伝える労働条件が1つ増える(省令)
  2. 「同一労働同一賃金ガイドライン」の改正(告示)
  3. 雇用管理の改善等に関する指針の改正(告示)

1. 雇い入れ時に「説明を求められる」ことを伝える

パート・有期雇用の人を雇うときは、これまでも「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」「相談窓口」を明示する必要がありました。10月1日からは、ここに「正社員との待遇の違い(内容・理由)について説明を求めることができる」旨が加わります。厚生労働省のリーフレットでは、違反した場合は10万円以下の過料とされています。

労働条件通知書の記載例として、厚生労働省は「次の窓口に対して通常の労働者との間の待遇の相違(内容・理由)等について説明を求めることができる」という文と、部署名・担当者・連絡先の欄を示しています。「通常の労働者」は「正社員」など自社の呼び方に置き換えてもよいとしています。

2. ガイドラインで明確になった主な待遇

裁判例を踏まえ、次の待遇について考え方が書き加えられました(「正社員」は通常の労働者の意味)。

  • 賞与・退職手当:労務の対価の後払いや功労報償などの目的がパート・有期の人にも当てはまるのに、働き方の違いに応じた均衡のとれた支給をしない場合、不合理と認められる可能性がある
  • 無事故手当:正社員と業務の内容が同じなら、同じ手当を支給
  • 家族手当:契約の更新を繰り返しているなど、相応に継続的な勤務が見込まれる人には、正社員と同じ手当を支給
  • 住宅手当:転居を伴う配置変更の有無に応じて払う手当なら、同じ配置変更がある人には同じ手当を支給
  • 病気休職・休暇:相応に継続的な勤務が見込まれる人には、病気休職・休暇(療養に専念するための休暇に限る)の期間の給与を、正社員と同じように保障
  • 夏季冬季休暇:正社員と同じ休暇を付与
  • 褒賞:一定期間の勤続に対して与えるものなら、同じ期間勤続した人にも同じ褒賞を付与
  • 福利厚生施設:利用料金・割引率などの利用条件にも、不合理な差を設けてはいけない

あわせて、待遇差をなくすときは正社員の条件を下げるのではなく、パート・有期の人の条件を上げることが求められること、「正社員を確保・定着させるため」という目的だけで差が不合理でないとは言えないことも明記されました。

3. 待遇差の説明のしかた

パート・有期の人から求められたら、待遇差の内容と理由を説明する義務があります。改正後の指針では、説明は「資料を使って口頭で説明する」か「説明すべき事項をすべて書いた、分かりやすい資料を渡す」のどちらかで行うこととされました。求めがなくても、契約更新のときなどに資料を渡したり、説明を求められることを周知したりするのが望ましい、としています。

お店として、いまできること/確かめたいこと

  • 雇用契約書・労働条件通知書のひな形:10月1日以降に雇う人の分に、説明を求められる旨と窓口が入っているか。厚生労働省は改正後のモデル労働条件通知書を公開しています
  • 手当と休暇の一覧:正社員(店長・社員)にだけ出している家族手当・住宅手当・皆勤や無事故の手当、夏季冬季休暇、病気のときの給与保障、勤続表彰などがないか
  • 社員割引・まかない・休憩室など:利用の条件がパート・アルバイトだけ不利になっていないか
  • 差がある場合の理由:仕事の内容や責任、配置転換の有無などの違いで説明できるか。説明用の資料を用意しておくと、求められたときに慌てずに済みます

どの差が不合理にあたるかは、個々の待遇の目的や働き方によって判断されます。迷う場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に問い合わせるか、社会保険労務士などの専門家が無料で相談に応じる「働き方改革推進支援センター」を利用できます。


出典