2026.10.07 WED RSS

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パートの社会保険「月8.8万円」の要件、10月に撤廃 小さなお店に関わるのはいつから?

小野寺 葵
パートの社会保険「月8.8万円」の要件、10月に撤廃 小さなお店に関わるのはいつから?

パート・アルバイトの厚生年金・健康保険の加入要件が、10月から変わります。日本年金機構は9月16日更新の案内で、短時間労働者の賃金要件(所定内賃金が月額8.8万円以上)について「令和8年10月に撤廃されます」としています。いわゆる「年収106万円の壁」と呼ばれてきた要件です。

もとになっているのは、2025年6月13日に成立した年金制度改正法です。賃金要件の撤廃に続き、勤め先の規模の要件も、10年かけて段階的に縮小・撤廃されます。

なぜ8.8万円の要件がなくなるのか

厚生労働省の資料によると、時給1,016円以上で週20時間働くと、月額賃金は8.8万円以上になります。令和7年度の地域別最低賃金がすべての都道府県で1,016円を超えたため、週20時間以上働く人は自動的にこの要件を満たすようになりました。これを受けて、要件そのものを撤廃する流れです。

撤廃後、短時間で働く人が加入の対象になる主な条件は次のとおりです。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 学生ではない(定時制・通信制、休学中の人などは対象)
  • 2か月を超えて雇用される見込みがある
  • 勤め先が企業規模の要件を満たしている

なお、最低賃金の減額特例の対象で月額8.8万円未満の人は、原則として加入しません。この人たちが申し出により任意で加入できる制度も、10月に始まります。

お店に関わるのは「企業規模」の段階

ここが小さなお店にとっての本題です。短時間労働者が加入の対象になるのは、今は従業員数(厚生年金保険の被保険者数)51人以上の企業です。これが次のように広がります。

時期 対象になる企業
現在 51人以上
2027年10月から 36人以上
2029年10月から 21人以上
2032年10月から 11人以上
2035年10月から 10人以下も含め、すべて

つまり、10月の賃金要件の撤廃が直接関わるのは、今の時点で51人以上の企業です。それより小さいお店は、上の表の自社の段階が来たときに、週20時間以上働くパート・アルバイトが加入の対象になります。

また、個人経営のお店(個人事業所)にも変更があります。今は法律で定める17業種に限られている適用対象が、2029年10月から、常時5人以上を使用するすべての業種に広がります。飲食サービス業や宿泊業も含まれます。ただし、2029年10月の時点ですでにある事業所は、当分の間は対象外とされています。

お店として、いまできること/確かめたいこと

1. 自社がどの段階に当たるかを確かめる
数えるのは厚生年金保険の被保険者数です。何年の10月からパートの加入が始まるのかを、表と照らしておくと、人件費の見通しが立てやすくなります。

2. 週20時間以上のパート・アルバイトを把握する
対象になった時点で、該当する人の「被保険者資格取得届」を日本年金機構に出す必要があります。シフトの組み方や働き方の希望は、早めに本人と話しておくと慌てずに済みます。

3. 時期を待たずに加入する道もある
企業規模の要件を満たさない企業でも、労使で合意すれば(従業員の2分の1以上の同意)短時間労働者も加入できます。2026年10月以降この仕組みで加入した場合も含め、新たに対象になった人の保険料の一部を事業主が負担すると、3年間、その追加負担分の全額を制度全体で支援する「保険料調整制度」が使えます。

どの要件に当てはまるか、手続きの細かい扱いは、日本年金機構の年金事務所や、顧問の社会保険労務士に確認するのが確実です。


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